ぼっち過ぎた高校時代 part3 ~修学旅行の班決めで神が現れた話~

ぼっちにとって修学旅行は苦痛だ

 

吾輩は陰キャラである。

 

今高校生でぼっちに悩んでる人は何人いるのだろうか。

 

高校で友達がいないのは何かと不便だし後のコンプレックスにもなる。

 

スタートダッシュにつまづいてからずっと前に進めずにいる人は多いはず。

 

そういった人たちは学校主催のイベントの際はどうしているのであろうか。

 

遠足、体育祭、文化祭などの行事は全て欠席したが唯一参加した行事がある。

 

修学旅行だ。

 

参加した理由は親が高い修学旅行費を捻出してくれたから休む事が出来なかった。

 

修学旅行に行きたくない。

 

本当は行きたくなかったが息子なりに親の事を考えた結果だ。

 

ただ楽しめる自信は1%もなかった。

 

協調性のない俺には無理だ

 

このイベントはリア充陽キャにとっては最高のイベントではないだろうか。

 

だが対照的に陰キャラやぼっちにとっては地獄なのである。

 

集団行動が多い上に四六時中クラスの奴といるのが苦痛だからだ。

 

地元の高校が関東なのだが行き先は京都と大阪。

 

お寺観光からUSJへ行くというプライベートであれば最高のプランである。

 

だが俺は何も嬉しくなかった。

 

どこへ行こうがぼっちが確定しているからだ。

 

もちろん荷物でカメラなんか持っていかなかったさ。

 

修学旅行前の班決めで最後に余るのは誰だ

 

修学旅行へ行くのも一苦労なのだが一番苦痛なのが宿の班決めである。

 

そしてそれに伴った班行動も苦痛である。

 

出発の一週間前に先生の仕切りの元で一時間話し合う事となった。

 

俺は心臓の鼓動が早くなりドキドキが止まらなかった。

 

それはワクワク感から来る物ではなく焦りからである。

 

やがて冷や汗も流れてきてお腹もグルグル回り始め痛くなってきた。

 

隣の席にナカガワがいたが屁をこぐのは自重した。

 

やがて先生が口を開く。

 

「今から黒板に名前を書いて行くぞ。」

 

カナダ、オオサワ、マツオカ、ナガヤマ。 

 

今まさに番長の金田を筆頭にヤンキーグループの名前が書かれている。

 

次にまた黒板に名前が書かれて行く。

 

ナカザワ、ナカニシ、ヤマダ、マエカワ。

 

ナカガワ軍団である。 

 

「こんなもんかな、次行くぞ。」

 

 先の擦り減ったチョークでをつらつらと名前を書いて行く。

 

オオノ、ノヤマ、カクヤマ、タケシタ。

 

野球部軍団か。

 

先生は見ている

 

ここで俺はある事に気づいた。

 

先生凄くね?

 

ちゃんとクラスの人間関係を細かく把握してるではないか。

 

2010年のWカップ時の岡田監督並みに采配が完璧である。

 

ホームルーム以外で生徒と関わる機会がないはずなのに何故細かく分かるんだ。

 

俺は話相手もいなかったし細かい人間関係を探るのは得意だったけど的確すぎる。

 

見てないようで見ているのか?

 

先生は神なのか?

 

最後まで余るのは俺か?

 

そろそろ班決めも大詰めに近づいてきた。

 

ここで5人ほどがまだ決まっていない状態であった。

 

残り物は九割が陰キャラぼっちで言うまでもなく俺もその内の一人である。

 

そして先生が切り出す。

 

うーん、おーい、モリオカ!!

 

クラスのモリオカが呼ばれた。

 

俺は少しビックリした。

 

それは先生の声にではなく最後までモリオカが残ってたからだ。

 

彼は分け隔てなく誰とでも仲良く出来る根っからのバランサータイプ。

 

本来なら二巡目には売り切れているからだ。

 

先生が続けて森岡に話しかけた。

 

お前、陰キャラマンとタナカと一緒の班で良いか?

 

なるほど、そういう事か、先生あんたすげーよ。

 

俺ともう一人のぼっちのタナカの為にモリオカを最後まで残したんだな。

 

俺は先生の言葉に涙ぐんだ。

 

モリオカもありがとうな。

 

そしてモリオカが先生に答える。

 

 

 

イヤです。

 

結局俺はタナカと2人組になる事となった。